消費者庁徳島移転に対する意見

河野消費者担当大臣が、3月下旬にまとめる政府の「基本方針」に消費者庁の徳島移転を明記する考えを示したことに対し、「消費者のみらいを考える会」も、この件について明確に反対の意見を表明致します。

 

その理由は以下のとおりです。

 

まず、移転することにより、消費者庁において求められる他の省庁以上に「困難な」役割を果たすことが極めて難しくなることは明らかです。

 

そもそも消費者庁は、「従来の縦割りの消費者行政から統一化・一元化する」ことを期待されて2009年に設立された組織です。設立して歴史の浅いこの組織が、それでも6年間にわたって地道に各省庁との関係を構築してきたと伺っています。それでも歴史の長い霞ヶ関の省庁に横串をさすことは簡単ではなく、様々な徒労感を感じていらっしゃった職員の方も少なくありません。そのうえ移転により物理的な距離を置くということになれば、密接な人間関係の構築も今まで以上に困難となり、どれほど悪影響があるのか、まったく考慮がなされていないように思います。

 

次に、消費者庁移転の目的として挙げられている狙いが不明確です。

 

もちろん地方の活性化や再生は非常に重要なわが国の課題であることは誰もが理解しています。しかしながら、消費者庁の移転によって地方再生がなされる根拠も不明確であれば、移転によって得られる消費者政策推進のメリットも一層不明確と言わざるを得ません。

 

消費者庁の移転によって確かに職員が徳島県に移住したり、消費者庁に陳情に訪れる方が増えることは予想されますが、その規模はいわゆる首都機能の地方移転として想定されるスケールに比べると極めて僅少なものにとどまります。他方、そもそも徳島県が2015年12月に決定した「政府関係機関誘致提案」によれば、国(消費者庁・国民生活センター)のメリットは、先駆的な施策推進を図るための実証フィールドの確保とされているところ、その「実証フィールド」において、先の「従来の縦割りの消費者行政から統一化・一元化する」目的が達成できるのか、全く明らかとされておりません。消費者庁に期待されている役割が移転後も果たせるのか、実行性の確保のための施策があるのかは、そこには記されておりません。では、政府がその説明をしているのかというと、知りうる限りそのような説明もなされておりません。

 

以上のとおりですので、当団体としては、消費者庁の徳島移転に対しては改めて反対の意思を明示させて頂くとともに、政府には、当団体に限らず、なぜ関係する多くの団体がこれほどまでに反対しているのか、その原因をよく検証したうえで、必要に応じて再検討を進めて頂きたいと思います。