11月12日(木)の全国紙朝刊でヤマト運輸が「いい競争で、いいサービスを」という意見広告を掲載していました。
ご覧になった方も多いかと思います。
【意見広告概要】
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日本郵便は「郵便業務」という「ユニバーサルサービス」を提供しており、その維持のためには税金や交通規制免除などの優遇がはかられている。
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「郵便業務」は範囲を拡大し「荷物を運ぶ」すなわち宅配便と競合するサービスも提供しており、「郵便業務」の名の下、それらにも優遇がされている。
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一方で「信書」に相当するものは郵便業務以外では運ぶことができないが、そもそも信書の基準はあいまいである。
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あいまいな基準のもとお客様が「信書」を郵便業務以外で送るリスクがあるため、クロネコメール便廃止に至った。
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「荷物を運ぶ」業者としては公正・公平な条件(イコールフッティング)の下、事業者がサービスを競うことにより、事業者の課題を解決、お客様がもっと便利になるチャンス、この国を発展させる希望を現実にできる。
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この課題について国民の皆様に考えていただき、意見をいただきたい。
今回のヤマト運輸の意見広告は、一事業者として「宅配便を運搬するサービス」と競合する市場における公平な競争環境の実現を求めるものですが、ここでの問題意識は「宅配便事業」に限られません。
今後も様々な規制緩和が進む中で、今まで以上に多くのサービスが生まれてきます。しかしながら、私たち消費者がより便利なサービスを享受していくためには、単なる規制緩和が進めばそれでよいということではありません。あくまで規制緩和によって開かれた市場において、そのサービスを提供する事業者がそれぞれ公平、公正な条件(イコールフッティング)で競争できる環境まで整えなければ、より良いサービスを生み出していき、消費者にメリットをもたらそうという狙いも絵に描いた餅で終わってしまいます。
あえて繰り返しますが、規制が緩和されることに加えて、開かれた市場に参入した事業者が他の事業者とイコールフッティングで競争をすることができる環境がなければ適切な競争は生まれませんし、規制緩和を行う意味もありません。イコールフッティングで競争できる環境を整えることこそが、規制緩和を進めるうえで、事業者にとっても、消費者にとっても要諦であって、今後もそのような問題意識を持っていかなければなりません。
その意味で、今回の意見広告における「いい競争で、いいサービスを」というフレーズはまさにそれを端的に気づかせてくれた良い事例だと思いますし、その意味でも今回のヤマト運輸の意見表明に関しては全面的に賛同したいと思います。
いい競争で、いいサービスを:ヤマト運輸
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