VW(フォルクスワーゲン)の排ガス不正問題

排気ガス

先日、ドイツのVW(フォルクスワーゲン)社が、米国で販売していたディーゼル乗用車に、ガス規制を回避するための違法なソフトウェアを使用していたという報道がなされ全世界に波紋がひろがっています。報道によるとVW社は、なんと2009年から6年にわたり、最大で規制の40倍もの窒素酸化物を排出していたとされています。

 

今回の不祥事によって、昨今パワー・経済性・環境性能を兼ね備えるとして注目を集めてきた、クリーンディーゼル車に対する信用が一気に失墜しただけではなく、環境性能という目に見えない特性をどう消費者が検証し選択していけばよいのか、消費者の購買行動に与える影響も計り知れないと言ってもいいでしょう。

 

そもそも、わたしたち消費者は、基本的に企業による情報提供に基づいて、商品やサービスを選択しています。特に、今回のような「環境性能」については、自らの選択が具体的にどの程度、環境に影響を与えているのか目で見て確認できるものではありません。それでも消費者の多くは、社会問題となっている環境汚染を、自らの問題として捉え、それが例えコスト的には割高であったとしても、その課題意識から、あえて環境性能のよい商品を選択しています。しかしながら、今回のように、企業が意図してその商品のサービス性能や品質について、検査時に不正を行ったり、虚偽の情報提供を行ったりしていたとしても消費者には真実を知る術がありません。

 

だからこそ、今回と同様の問題を生じさせないようにするため、検査体制の見直しが急務とされています。「消費者の信頼」を回復するためにも、今までのような「性善説」をベースとした検査体制から脱却していかなければなりませんし、私たち消費者団体が、より積極的にその体制やしくみをチェックできるようにすることも、今後必要となるのではないかと考えています。

 

消費者基本法が定める、消費者が持つ「8つの権利(※1)」の一つに、「知らされる権利」があります。商品やサービスを選択する際に必要な事実を与えられる。または、不誠実あるいは誤解を与える広告や、表示から守られる権利を指し示しますが、消費者の持つ権利が奪われることのないよう、私たち「消費者のみらいを考える会」は、国や第三者機関に対し、その基準や運用の妥当性について幅広く意見を行うとともに、こうした活動を通して、「消費者市民社会(※2)」の形成に貢献していきたいと思っています。

 

※1 消費者の8つの権利・・・消費者団体の国際的組織であるCI(Consumers International:国際消費者機構)が提唱している「消費者の権利」。日本国内においては、2004年施行の消費者基本法にて、初めて明記されました。

●生活のニーズが保証される権利

●安全への権利

●情報を与えられる権利

●選択をする権利

●意見を聴かれる権利

●補償を受ける権利

●消費者教育を受ける権利

●健全な環境の中で働き生活する権利


※2 消費者市民社会・・・消費者が、個々の消費者の特性及び消費生活の多様性を相互に尊重しつつ、自らの消費生活に関する行動が現在及び将来の世代にわたって内外の社会経済情勢及び地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会


資料:実際の燃費、試験と隔たり 性能4割低いと欧州NGO-産経新聞

http://www.sankei.com/economy/news/151003/ecn1510030020-n1.html


VWに48万台の改修命じる 米当局、排ガス規制逃れで-朝日新聞

http://www.asahi.com/articles/ASH9M2HZ5H9MUHBI00C.html


消費者市民社会(平成25年版消費者白書)-消費者庁

http://www.caa.go.jp/adjustments/hakusyo/2013/honbun_13_column.html


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