消費者契約法は、平成12年に、事業者と消費者の情報力や交渉力などの格差を是正し、その力の格差によって生じる消費者トラブルを未然に防ごうという目的で制定され、平成13年から施行されている法律です。
「消費者契約」は、「消費者と事業者の間で締結される全ての契約」を指します。契約書を取り交わすものだけでなく、スーパーマーケットで食料品を購入するのも契約、スマートフォンでアプリをダウンロードするのも契約になります。
そのため、「消費者契約法」は、私たち消費者にとって非常に身近な法律といえます。
この法律は、大きく分けると、総則(定義・義務)、事業者の不当行為規制、その他の規律という構成からなります。そのうち、事業者の不当行為は、「不当勧誘」と「不当条項」にわけられます。
不当勧誘には、うそを言ったり(不実告知)、確実にもうかると言ったり(断定的判断の提供)、都合が悪いことをいわない(不利益事実の不告知)などにより消費者を誤認させる行為と、消費者の住居や職場などに居座ったり(不退去)、逆に勧誘されている場所から退去させず(退去妨害)、困惑させるといった行為があります。
不当勧誘の例
また、不当条項とは、事業者が一切の損害賠償責任をおわないとする記載や、消費者に対して法外な損害賠償額を定める記載など、契約内容を事業者が一方的に定めており、消費者に不利な条項を指します。
なお、その他の規律としては、内閣総理大臣に認定された適格消費者団体が、この法律に違反する事業者に対し差止めを請求することができる差止請求権などがあります。
この消費者契約法ですが、平成26年10月に、消費者委員会に消費者契約法専門調査会が設置され、改正にむけた審議がすすめられています。
勧誘の要件をひろげる、不当勧誘の類型や不当条項の項目を増やすなど、さまざまな観点で検討されていますが、早ければ来年の通常国会において改正法案を提出する予定となっており、年内のとりまとめに向けて、さらに活発な議論がすすんでいくものと思われます。
消費者と事業者間の契約は現代社会の中で大きな部分を占めていることから、改正の内容によっては消費者、事業者を問わず、大きな影響を与えることになります。我々としても、消費者にとってどういう規律が望ましいのか、今後の議論の行方をみまもっていきたいと思います。
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